【J2第10節】ヴァンフォーレ甲府 1-0 京都サンガF.C.

ヴァンフォーレ甲府 1-0 京都サンガF.C.
日時:2019年4月20日(土)14:03KO
会場:山梨県小瀬スポーツ公園陸上競技場(8,162人/晴 22.8℃ 26%)
主審:吉田哲朗
84′-甲府/曽根田穣

■ヴァンフォーレ甲府(3-4-2-1)
GK1:河田晃兵
DF41:武岡優斗
DF22:小出悠太
DF6:エデル・リマ・ドス・サントス
MF28:橋爪勇樹
MF8:新井涼平
MF14:横谷繁(85′-MF40:小椋祥平)
MF21:荒木翔
FW9:ピーター・マドゥアブチ・ウタカ(80′-MF11:曽根田穣)
FW10:ルイス・エドゥアルド・ドス・サントス・ゴンザガ “ドゥドゥ”(90+3′-DF3:小柳達司)
FW18:佐藤洸一

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK21:清水圭介
DF25:上夷克典(72′-DF4:田中マルクス闘莉王)
DF16:安藤淳
DF6:本多勇喜
DF5:黒木恭平
MF10:庄司悦大
MF31:福岡慎平
MF41:金久保順(65′-MF14:仙頭啓矢)
FW13:宮吉拓実(85′-FW39:エスクデロ競飛王)
FW23:一美和成
FW22:小屋松知哉

柏戦以来の「力負け」

見どころは、本多選手のみごとなルーレットでの突破!
もういっちょ、タイムアップ直前のシュートぐらい。
あれ、少なすぎか(笑)?

88分、局面を打開すべく本多がマルセイユ・ルーレットでDFを剥がす

両チームとも帰陣&早えーの、守備整えも早えーので、シュートはあっても決定機はそんなにないゲーム。
そんな中で、京都と甲府はお互い3トップながら、好対照で。
甲府さんは3トップがぐるぐるローテーションしつつ、京都の最終ラインの裏にランニングして、そこでキープして「楔=起点」をつくるイメージ。
浩市ではない佐藤洸一選手が特に献身的で、ゴールはなかったものの、攻撃に「深さ」を生み出してました。
一方、サンガさんは一美選手が真ん中でドスンと構えて、右・宮吉、左・小屋松。
金久保と、重廣が負傷で代わりに入った福岡が、甲府の2ラインの間でボールを受けて「楔」を打ち込もうとしてました。

でもでも、きょうの京都はある程度ボールキープはできども、そしてある程度前線でボールは持てても、決定的チャンスは作れなかったのがすべて。
それに、中田一三氏の試合後コメントのとおり「こちらがボールを持っているにも関わらず奪われ方が悪かった」、最終ラインでの不用意なパスミスもちょこちょこあった。
相手のPKミスもあったことも考えると、敗北も致し方なしかな。

ただ、見ていて思ったことは、「こういう膠着した試合には、やっぱりドリブルできる選手がほしいざますね! 奥さん」(←誰?)。
パス交換だけではある程度行き詰まってしまった中で、局面を独力で打開できる選手、カオスを発生させる選手がほしいなと。
そういう意味で、開幕から先発だった中野選手がすっかりベンチ外になってしまったのが残念。
ドリブラーといえば、湯澤選手も開幕からずっとベンチ外。
きょうの結果で次節、スタメン&ベンチ入りメンバーに少し変更あるかも?という予感もありつつ、次節はわっ、平成最後の一戦!

【J2第9節】京都サンガF.C. 2-1 ツエーゲン金沢

京都サンガF.C. 2-1 ツエーゲン金沢
日時:2019年4月14日(日)14:03KO
会場:京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場(3,385人/雨 14.6℃ 76%)
主審:池内明彦
43′-京都/金久保順
83′-金沢/杉浦恭平
89′-京都/仙頭啓矢(pen.)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK21:清水圭介
DF25:上夷克典
DF16:安藤淳
DF6:本多勇喜
DF5:黒木恭平
MF10:庄司悦大
MF8:重廣卓也
MF41:金久保順(87′-MF14:仙頭啓矢)
FW13:宮吉拓実(79′-MF31:福岡慎平)
FW23:一美和成(88′-DF4:田中マルクス闘莉王)
FW22:小屋松知哉

■ツエーゲン金沢(4-2-2-2)
GK23:白井裕人
DF24:長谷川巧
DF27:廣井友信
DF2:山本義道
DF16:毛利駿也
MF33:梅鉢貴秀(46′-MF6:大橋尚志)
MF8:藤村慶太
MF13:大石竜平
MF17:加藤大樹(68′-MF7:清原翔平)
FW9:小松蓮
FW22:ジョバンニ・ピエール・クルーニー・アセンホ(76′-FW11:杉浦恭平)

「縦横」無尽な攻撃サッカー

「前節とおなじメンバーで、もっと人もボールも動くサッカーを?」
「できらぁ!」

とばかりに、ひさしぶりに「スーパー食いしん坊」なサッカーを展開したこの日の京都サンガ。
フォーメーションは前節、前半途中から採用した「4-1-2-3」。
攻撃時はサイドバックのひとりが攻め上がり、もうひとりは中盤・庄司と同じ高さに。そして重廣、金久保が積極的に前線に顔を出して「2-3-5」のような形になる。
一方、守備時はウイングが中盤に降りる「4-5-1」。
で、ボールが動くようになった理由として挙げられるのは、シンプルに「コンパクトになれたこと」。
守備は、写真のような形で中盤に5人を配置、庄司が最終ラインと中盤の2ラインの間をフォローした。

京都は守備に転ずると[4-5-1]をまずセットした
守備時の選手配置。相手がサイドでボールを持った際は、逆サイドの宮吉、上夷は中央付近まで絞っている

攻撃では、まず一美vs金沢の守備陣の「フィジカルバトル」で優位に立てたことが大きい。
金沢の守備は基本的に、ゾーンではなく人に付くスタイル。
一美が前線でボールをある程度持てたことで、攻撃のラスト30mの攻略において「幅」と「深さ」が出せた、
「幅」は、一美が真ん中でボールをキープしてくれたため、3トップがある程度の距離感を置いたポジションを取れたこと。
「深さ」は、一美を追い越すように、裏に小屋松、重廣が飛び出し、彼らに向けて浮き玉のパスが送ることができたこと。
「幅」×「深さ」で、すなわち、「縦横」に広いサッカーを展開することができたわけだ。

ペナ付近にいた宮吉が「空けてあった」スペースへラン、そこへ右サイドバック・上夷からパスが出る

とはいえ、完璧に近い前半と比べて金沢が積極的に前にプレスをかけてきた後半では、ややトーンダウン。
そして、82分、本多が杉浦からボールを奪われ、そこからのコーナーの流れで失点してしまう。
幸い、その後仙頭がうまくPKをとってくれたからよかったものの、あやうく「勝ち点1」で終わるところだった。
今後の課題としては、もちろん最終ラインでの単純なミスを減らすこと。
加えて、先制したあと、いかに追加点を取れるようになるか、だろう。
まぁしかし、ラッキーな形でもホームで勝ち点3は良い結果!
5バック、4バックでの試行錯誤、そしてこの試合で得た自信で、チーム力が一段UPできた――そう、信じたい。

相手FK時、富永康博GKコーチがタッチライン際まで出てきて指示を出す

【J2第8節】栃木SC 1-2 京都サンガF.C.

栃木SC 1-2 京都サンガF.C.
日時:2019年4月7日(日)14:03KO
会場:栃木県グリーンスタジアム(3,889人/晴 19.8℃ 44%)
主審:大坪博和 “天敵”
3′-栃木/藤原広太朗
42′-京都/一美和成(左足←小屋松)
52′-京都/一美和成(右足←小屋松)

■栃木SC(3-4-2-1)
GK50:ユ・ヒョン
DF20:岩間雄大(67′-DF30:田代雅也)
DF4:藤原広太朗
DF27:久富良輔(59′-FW19:大島康樹)
MF44:福田健介
MF40:寺田紳一
MF5:ヘニキ・ルイス・ヂ・アンドラーデ
MF14:西谷優希
MF21:大﨑淳矢
MF10:西谷和希
FW9:大黒将志(46′-MF6:古波津辰希)

■京都サンガF.C.(3-3-2-2)※前半30分まで
GK21:清水圭介
DF25:上夷克典
DF16:安藤淳
DF6:本多勇喜
MF5:黒木恭平
MF10:庄司悦大
MF22:小屋松知哉
MF41:金久保順
MF8:重廣卓也
FW23:一美和成
FW13:宮吉拓実

■京都サンガF.C.(4-1-3)※前半30分から
GK21:清水圭介
DF25:上夷克典
DF16:安藤淳
DF6:本多勇喜
DF5:黒木恭平
MF10:庄司悦大
MF41:金久保順(65′-MF29:中野克哉)
MF8:重廣卓也
FW13:宮吉拓実(88′-MF31:福岡慎平)
FW23:一美和成(82′-FW19:大野耀平)
FW22:小屋松知哉

桜と小屋松の満開の下

本日のMIP(most impressive player)は栃木の古波津選手!
圧倒的フィジカル ←主に体格的に。
往年の「レスラー」こと、辻本選手を思い出した。
…というフェイントはさておき、やっぱりきょうは小屋松だな!
ドリブル、キレキレ。

今季初の「いい顔2トップ」でスタート

きょうの試合、「4-3-3に変えてボールが回るようになった」と各選手が口を揃えてコメントしている。
そのとおり、30分ごろでのポジション変更が勝負を決めた。
2トップ採用のため、今季初めてウイングバックに入った小屋松がより高いポジションを取れるようになり、小屋松→一美の「小一コンビ」で2得点。
42分、相手DF(久富選手)が足を滑らせたところから小屋松のボール奪取で、同点弾を演出。
2点目も小屋松の切れ味鋭いドリブルからだった。

前半終了間際、ミスからのもったいない失点に栃木ファンも「Oh!」

小屋松のドリブル以外にも、きょうは攻撃に「深み」があり、相手の守備ラインに混乱を招いていた。
ディフェンスラインの裏に抜け出した重廣、一美への浮き玉のパスが効果的。
前節、足元足元で相手のプレスの網に引っかかっていたのとは好対照だった。
闘莉王、ジュニーニョを遠征メンバーから外し(負傷?)、今まで出場機会のない選手たちを起用し、フォーメーションも変えて、見事な逆転勝利。
今後、いい流れを作ってくれそうな勝ち点3だったと思う。

試合観戦に訪れた原博実Jリーグ副理事長(栃木出身)も「4バックが好きだから」と4バックにシステム変更した京都にご満悦。一美と記念撮影、撮影は實好アシスタントコーチ

【J2第7節】京都サンガF.C. 0-1 モンテディオ山形

京都サンガF.C. 0-1 モンテディオ山形
日時:2019年4月3日(水)19:03KO
会場:京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場(4,525人/晴 8.1℃ 47%)
主審:飯田淳平
70′-京都/オウンゴール(上夷)

■京都サンガF.C.(3-4-2-1)
GK21:清水圭介
DF25:上夷克典
DF4:田中マルクス闘莉王
DF6:本多勇喜
MF5:黒木恭平
MF10:庄司悦大
MF31:福岡慎平(86′-MF8:重廣卓也)
M28:冨田康平
MF20:ジュニオール・シウヴァ・フェレイラ “ジュニーニョ”(83′-DF3:宮城雅史)
MF22:小屋松知哉
FW39:エスクデロ競飛王(88′-MF14:仙頭啓矢)

■モンテディオ山形(3-4-2-1)
GK21:櫛引政敏
DF23:熊本雄太
DF3:栗山直樹
DF19:松本怜大
MF4:三鬼海
MF7:岡﨑建哉
MF17:中村駿
MF29:ホドルフォ・チト・ヂ・モラエス(90+2′-DF6:山田拓巳)
FW13:大槻周平(80′-MF27:坂元達裕)
FW10:井出遥也(67′-MF18:南秀仁)
FW11:阪野豊史

無慈悲な夜の結末

今季初のミッドウィーク開催。
先発、ワントップでエスクデロを起用してきた。
宮吉よりは前線でのキープができることを期待して、宮吉のフォローでトップの位置にポジションすることが多かった重廣をベンチに。
そして中盤、庄司のパートナーに福岡を持ってきて、2センターが横並びの関係に置く。
その2センターが攻撃時は前線に上がり、ジュニーニョ、エスクデロ、小屋松とともに「5トップ」化していた。
3バック+5トップ、おおこれはコンテ=ユベントスの「3バック+5トップ、中盤ぽっかりサッカー」のオマージュじゃないですか。
ただ、いかんせん、今回最悪ぐらいにボールが回らなかった。
山形の1トップ、2シャドー、2ウイングバックにサイドへのパスコースを抑えられ、中盤では上記のように人が手薄なため、相手ボランチに制圧されてしまった。
うまくいかなかったのは、福岡くんの言葉どおり。
ユーベにはピルロがいたけど京都にはいなかった、とでも言うべきか。

福岡慎平選手(京都)
--リズムが作れなかった理由は?
今回の戦術は自分と庄司くんが高い位置を取ることが多くて、そこでボールを回すときにチームが円の状態になって真ん中にパスをつなぐ人が誰もいないシーンが多くなっちゃって、自分たちも後ろ向きで相手にかっさらわれるシーンが多かった。そこは自分たちで解決するしかないですし、もっと相手を見ながら自分のポジションを変えていかないと。

「一三スレイヴ」の人でさえも、きょうは疑問を覚えたであろうこのゲーム。
連戦となる日曜日、選手の配置、入れ替え含めて、さてどう修正してくるか?

【J2第6節】FC岐阜 1-1 京都サンガF.C.

FC岐阜 1-1 京都サンガF.C.
日時:2019年3月30日(土)15:03KO
会場:岐阜メモリアルセンター長良川競技場(5,508人/雨11.5℃/82%)
主審:榎本一慶
71′-京都/ジュニオール・シウヴァ・フェレイラ “ジュニーニョ”(右足←エスクデロ)
83′-岐阜/粟飯原尚平

■FC岐阜(4-1-3-2)
GK25:ヴィクトル・イバニェス・パスクアル “ビクトル”
DF15:会津雄生
DF2:阿部正紀
DF27:イヨハ理ヘンリー
DF35:長倉颯
MF30:中島賢星
MF31:宮本航汰
MF28:永島悠史(78′-MF8:フレデリック・ビュロー・ワガー)
MF6:三島頌平
FW9:山岸祐也
FW10:ライアン・デ・フリース(62′-FW24:粟飯原尚平)

■京都サンガF.C.(3-3-3-1)
GK21:清水圭介
DF25:上夷克典
DF4:田中マルクス闘莉王
DF6:本多勇喜
MF31:福岡慎平
MF10:庄司悦大
MF5:黒木恭平
MF20:ジュニオール・シウヴァ・フェレイラ “ジュニーニョ(71′-MF14:仙頭啓矢)
MF8:重廣卓也(88′-DF30:石櫃洋祐)
MF22:小屋松知哉
FW13:宮吉拓実(66′-FW39:エスクデロ競飛王)

おれがあいつであいつがおれで

今季の岐阜は昨年のサッカーからモデルチェンジしていた。
中盤がダイヤモンド、前線が2トップ。
高い位置でボールを奪ってから、2トップの飛び出しに合わせてボールを前に運び、以前よりは「手数」をかけずゴールを狙っていく攻撃を志向しているようじゃないですか。
一方の、京都サンガは往年の…ってそんな昔じゃないけれど(笑)、大木時代を現代風にリバイバルさせたようなポゼッションサッカー。
昔やっていたサッカーの指揮官が、敵チームにいて、あれ…、もしかして入れ替わってるーーー?
思わず「前前前世」が聞こえてくるような、そんな感慨深い一戦だったなと。

京都の最終ラインから出るパスを、岐阜は明らかに狙っていた。
ポゼッションの起点となる3バックに対して、岐阜の2トップは「3バックの間」のレーンに位置。
囲碁で言うならば「ノゾキ」のポジションを取っていた。
そして、アンカー・庄司へのパスラインを分断しつつ、ワイドへのロングパスがあればインターセプトを狙うという形。

本多のパスがカットされるなど、最終ラインでのボール回しに不安定さが垣間見られた

加えて、京都の「3-3-3-1」によるパス回しも不発に終わった。
京都の攻撃のメカニズムとしては、
●大外のレーンに位置している小屋松、ジュニの両ウイングが相手4バックを「広めにピン留め」して、
●重廣がトップの位置まで上がり、
実質4トップのような形で相手最終ラインの攻略を狙う。
その際に、
●上夷、本多のセンターバックがインナーラップを狙う(ときにウイングと位置を入れ替える場面も)
●ウイングバックの福岡か黒木の一方がボランチの位置に入る(いわゆる「偽サイドバック」化)
のが特徴的なんだけど、岐阜も京都のボールサイドに人を寄せてくるし、京都も単純にボールキープでミスがあったりして、なかなかボールがうまく回らない。
そして、シュートを打つところまで進まない。

インナーラップした上夷の外側レーン前後を福岡と仙頭がフォロー。きれいなトライアングルを形成

逆に、岐阜はショートカウンター中心ながらも、京都の2ラインの間を永島悠史がうまく入り込んだりして、シュートの形まで持っていけていた。
宮吉に代えてエスクデロを入れたことで、ボールの収まりどころができて(その分、前線からの守備はゆるくなったけど)、71分にジュニーニョが先制ゴール。
続いて74分には、右サイドで複数人が絡んで、この日最高の「崩し」があったのだが、エスクデロへのラストパスがイヨハ理ヘンリーに触られて、シュートに至らず。
逆に、失点に関しては、その直前の79分、闘莉王がボールをさらわれて大ピンチを招いていたので、そこらへんからのリズムの悪さも影響したのかもしれない。

状況に応じて、庄司が最終ラインに落ち、本多と闘莉王の位置が入れ替わるような場面も

押している場面もあれば、押されている場面もあり、先制はしたもののドロー決着は妥当なところ。
ここを守りきれるような、または、2点目を取れるような力がついてきたら、もう1ランク、チームは成熟したといえるんだろうな。

※参考大木武が磨く岐阜式ダイヤモンド。「ミスマッチだから面白いんだよ!」 – Jリーグ – Number Web – ナンバー 1 大木武が磨く岐阜式ダイヤモンド。「ミスマッチだから面白いんだよ!」 – Jリーグ – Number Web – ナンバー