【EURO2004準々決勝】フランス0-1ギリシャ

フランス0-1ギリシャ
後半20分【ギリシャ】カリスティース

王者が見せたのは――気の抜けた”シャンパン”サッカー。
フランスは敗れるべくして敗れ去った。

ギリシャもいいサッカーをしているけど、あくまでカウンターのチームだった。
そんなサッカー新興国に対して、フランスは受けてたってしまった。
流したような前半戦。
そして、DFの数はそろっていながら、相手FWをドフリーにして奪われた先制点。
やっと本気を見せたのは、後半30分過ぎから。
トレゼゲもジダンもアンリも、シュートがダフったりトラップを誤ったり、ミスが多すぎた。

熟成されたチーム、ベテランが多いチームだからこそ、ここにきて疲れが出てしまったのか。
イタリアかドイツが予選で去り、イングランドもフランスも大会を去ってしまった。

この後、ポルトガル、ギリシャ、スウェーデン×オランダの勝者、チェコ×デンマークの勝者が準決勝へと進む。

【J2第18節】鳥栖0-2京都

サガン鳥栖”フィーチャーズ”0-2京都パープルサンガ
◇6/23(wed) midweek
後半41分【京都】美尾(中央をドリブルで切れ込んだ六車からのパスを受けて反転→左足)
後半44分【京都】美尾(松井とのパス交換で左サイドPAに進入→崔とのワンツーで抜け出し左足ループ)

■京都パープルサンガ(4-2-2-2)
GK1:平井直人
DF29:森勇介
DF25:辻本茂輝
DF5:手島和希
DF4:鈴木和裕
MF6:石丸清隆
MF14:中払大介
(後半34分-MF30:六車拓也※公式戦初登場)
MF17:熱田眞”帝王”
(後半7分-MF19:美尾敦)
MF10:松井大輔
FW9:黒部光昭
(後半18分-FW11:田原豊)
FW21:崔龍洙

柱谷監督就任以来アウェー2連勝∩(・∀・)∩バンジャーイ
情報断ちして帰宅後、ビデオを見終わって、今とてもいい気分。以下、試合レポ。

暑さのせいか、脚をつる選手も出てきた。両チームの運動量は明らかに落ちていた。日本の夏らしいサッカー。なんとなく0-0でドローの雰囲気がスタジアム全体に流れる。

「このままじゃ点取れそうにないぞ。リスクを冒しても点を取りにいくプレーをしないと…。たとえば、ボランチの石丸がもっともっと前に出るとか、辻本を前線に上げるとか」とテレビの前でひとりごちていた後半41分。敵陣で鳥栖・村主のボールを奪った後、途中出場の六車が右サイドから中央にドリブル突破を試みる。松井のスキルフルなドリブルとは違う、体格を生かしたパワフルなドリブル。ペナルティーエリア付近でDFに引っかかってしまったけど、粘り強くキープして前にいた美尾にパスをする。すると、美尾は振り向きざまに左足シュート。ボールは、この日のベストプレーヤーのひとり、鳥栖GKのシュナイダーの手をかすめ、ポストに当たってネットに吸い込まれていった。

パスを受けてシュートに入るまでも一瞬なら、脚の振りもほとんどなかった。美尾のまさに左足一閃の鋭い弾道は、ちょっとポルトガルのヌノ・ゴメスのシューターぶりに近いものを感じて、思わず体が震えてしまった。この後、美尾はカウンターから今日2点目を決める。それは、ちょうどチェがフリーのシュートをGKに当ててイヤな雰囲気になった直後であり、そして試合を決定付ける得点でもあったから、価値は大きかった。

試合全体を振りかえってみると、柱谷監督が志向する「プレッシング・サッカー」はまだまだといった印象。ボールホルダーにひとりは必ずプレスにいくが、2人目・3人目の集まりが遅いため、カンタンに突破を許す場面も多かった。ただよくなってきたなと思うのは、攻撃面で前線にグラウンダーのパスを通すことができていたこと。まずFWにボールを当てて、中盤に戻してから、サイドのMFとDFがからんで早い攻撃をする――現代サッカーの教科書的な攻めの〝第一歩〟ができるようになってきた。ただ、その後の展開でやや時間がかかるのは改善してほしい。あと時間といえば、セットプレーのリスタート、ゴールキックからの再開(平井!)にやたらと時間がかかるため、自分たちでリズムを失っているようにも感じた。

結果的には、交代出場した2人で点を取って勝利した今日の試合。やはり、柱谷監督のゲームを見る目、そして交代選手を投入する目は、前監督よりははるかに優れている、と2試合だけでも判断できると思う。公式サイトによれば、六車を使ったのは、

六車は練習でも非常にいいし、特に桃山学院大学との練習試合で、右サイドの中盤で起点を作ってゴールに向かって積極的に仕掛ける動きが見えたので、今日は帯同させてチャンスがあったらというところで、彼を使いました。

とのこと。浦和のDF(懸案の左SB!)三上を獲得するという噂も出ているし、チームを率いてから間もないが、徐々に戦術面だけでなく、起用する選手の面でも〝柱谷色〟が出てきそうな気配だ。

カレル・ブリュックナーの「タイポロジー」

久しぶりに風呂掃除。水アカをゴシゴシ強くこすると落ちることがわかった。ゴシゴシゴシゴシを1時間以上。

それはさておき、鮮烈だった昨日のユーロ・チェコ×オランダ戦。「Number」ユーロ開幕特集のカレル・ブリュックナー/チェコ監督のインタビューをもとに、チェコサッカーの特徴・強さの秘密を考えてみたい。

で、記事を書いた木村元彦氏によれば、ブリュックナー監督のキーワードは「タイポロジー」だとか。

★2列目のポポルスキーのところにシオンコ、左のスミチェルのところにはティーチェ、グリゲラの右サイドバックにはイラネク。シオンコはFW、ティーチェはDF登録だが、意に介さない。タイポロジー=同じ種類の対象物を丹念に調査採集して類型化し本質に迫る学問。この方法論をブリュックナーは好んで使い、また自らよく語る。(中略)
 ポジションに選手を合わせるのではなく選手のスタイルに合ったポジションに配置する。さらに徹底して観察し、同じタイプの選手をそのシステムに当てはめて準備させる。特性を完全に把握していれば、ピースが欠損しようがシステムが変わろうが、迅速にフィットし対応できる。そのための選手の腑分け、分類、それがブリュックナー流タイポロジー。

チェコの戦術は2、3回のタッチで素早くボールを動かしながらのサイド攻撃が基本――そう、どの雑誌記事・ネット記事を見ても書いてある。
だから、チーム内でいちばん鍵になるのは両サイドのMFとなるし、実際右・ポポルスキー&左・スミチェルという強力なサイドプレーヤーがいる。
(オランダ戦では最初、ネドベドを左サイドで使っているけど)
でも、彼ら2人が使えないとしたら――FW、DFで突破力がある選手をサイドMFに使うのが、ブリュックナーがいう〝タイポロジー〟に基づく選手起用なのだ。
そういう意味では、アレックスをサイドバックに使った某国代表監督もタイポロジーな発想だったのかは謎なワケだが…。

とはいえ、フォーメーションについては臨機応変に変わるものだと考えているようだ。次の発言からそれがわかる。

★「どうして4・1・4・1と拘るのかね。面白いね。誰が質問しても集中するのは試合開始の布陣なんだ(笑)。違うんだよ。時間的なフェイズ(局面)があるんだ。チームを評価する方法は20分、30分と時間の経過とともに起きる変化への対応だ。予選のベラルーシ戦で急遽見せたネドベドとロシツキーのダブルボランチを覚えているだろう? 我々にとって中央の一番いい選手はあの2人だが、状況によっては守備もさせる。最初だけを基準に判断するのはおかしい。もちろん、ベースは君(=インタビュアー)の言うとおりだが」

このことばは、オランダ戦の選手交代に振り返ればよくわかる。
試合開始時のチェコのフォーメーションは4・4・2。

         コラー   バロシュ
 ネドベド  ガラゼク  ロシツキー   ポポルスキー
 ヤンクロフスキー ウイファルシ イラネク グリゲラ
             チェフ

前半、オランダの左サイド・ロッベンを自由にしすぎていた右サイドバック・グリゲラを、左サイドMFのスミチェルと交代。彼と右サイドのポポルスキーとともにウイングバックに置いた3・5・2に移行した。

         コラー    バロシュ
 スミチェル  ネドベド  ロシツキー ポポルスキー
             ガラゼク
   ヤンクロフスキー ウイファルシ イラネク          
             チェフ

さらに後半、ボランチのガラセクに変えてフォワードのハインツェを投入して、3・4・3。

   ハインツェ    コラー    バロシュ
 スミチェル  ネドベド  ロシツキー  ポポルスキー
   ヤンクロフスキー ウイファルシ イラネク      
             チェフ

同点直後になってコラーを下げ、DFのロゼーナルを入れ開始当初の4・4・2に。

         ハインツェ  バロシュ
 スミチェル  ネドベド  ロシツキー  ポポルスキー
 ヤンクロフスキー ウイファルシ イラネク ロゼーナル          
             チェフ

最悪勝ち点1でもいいという姿勢を見せながら、実は中盤より前は攻撃的選手で占めるという布陣。
で、結局この日キレキレだったポポルスキーの突破からスミチェルが決めて逆転してしまった。

振り返ってみると、ブリュックナーの采配は、時間経過と相手の選手変更を見極めた巧みなもの。
確かに、ディフェンダーが薄くなった分、危険な時間帯もあったし、オランダの消極的な選手交代もあった。
(あのクライフもずっこけたと言うロッベンout ボスフェルトin)
なのに勝ち越せたといのは、「リスクを負わないと点数は取れないし勝てない」――イビチャ・オシムも言っているけど、そんなサッカーの定石に沿った結果なのかもしれない。
ま、ブリュックナーは以下のように〝法則〟と言ってますが。

★「基本的なオルタナティブの思考とやり方はうちの選手たちは皆、心得ている。アルキメデス、ニュートンからパスカルといろんな法則があるが、サッカーの試合にも法則がある。試合の前やトレーニング中、ロッカーとか、四六時中考えて、教えている。だから特別なミーティングなんてやらない。法則を理解させることこそが監督の仕事だ」

チェコの強さの秘密――それは、
 1)サッカーの基本的原則を理解したコーチ
 2)原則を頭に叩き込まれた選手たち

の存在ということだろうか。プレスと高いディフェンスラインという現代サッカーのベースとなる戦術では、もっと徹底しているチームもほかにある。
そうではない、もうひとつのチェコの強さをあげるとしたら、次の発言にもあるように
 3)攻撃的精神あるいは中盤の選手が守備・攻撃ととらわれず両方の役割をこなす
ということかな。

★チェコの守備は2列目が攻め続けることである意味完結している。なぜならブリュックナーは笑いながらこうも言うのだ。
「中盤の底に1枚しかないガラセクの守備の負担? おかしいな、彼は守備じゃなくて攻撃の起点なんだよ」

で、ラトビア、オランダを破ったチェコはユーロ2004の出場チームで唯一2連勝を達成。早々と決勝トーナメント進出を決めた。次の対戦相手はドイツ。ドイツについて、ブリュックナーはこう言っている。

★「創造性を持つのが中央のバラック(ドイツ)だが、私は相手チームについて選手でチェックしない。問題は選手ではなく、スペースを抑えることなのだ。大切なのはバラックを自由にさせるなという指示ではなく、逆にバラックを我々の選手の動きで止めさせる作業に仕向けるということだ」

あと、気になったことば2つ。

★対戦相手に敬意を払いながらも、すでに数十通りのタクティクスをシミュレートしたと言う。

★「知っているかね? こいつもいい監督だ。特に15番が大好きでよく聴く」
 モーツァルトだった。クラシック鑑賞が何よりも趣味だという男は、楽聖のピアノコンチェルトNo.15が、ことのほかお気に入りらしい。

【ユーロ2004 1次リーグD組】オランダ2-3チェコ

オランダ2-3チェコ
4分【オランダ】ウィルフレッド・ボウマ
19分【オランダ】ルート・ファン・ニステルローイ
23分【チェコ】ヤン・コーラー
71分【チェコ】ミラン・バロシュ
89分【チェコ】ウラディミール・スミチェル

たぶん、これまでの試合の中でベストゲーム。
チェコ強えー&ネドベドのキック力すげー。

2点リードされた時点の前半でディフェンダー下げるブリュックナー監督萌え。
それに反して、フォワード下げるオランダのアドフォカード監督、攻撃の国の人なのに。お箸の国の人なのに。
そんなわけで、今度は「Number」の記事引きながらブリュックナーについて語ってみる予定です。

【J2第18節】大宮0-1京都

大宮アルティージャ0-1京都パープルサンガ
後半25分【京都】崔龍洙(右:美尾→ヘッド)

■京都パープルサンガ(4-2-2-2)
GK1:平井直人
DF29:森勇介
DF5:手島和希
(後半38分-DF27:萩村滋則)
DF25:辻本茂輝
DF4:鈴木和裕
MF6:石丸清隆
MF14:中払大介
MF17:熱田眞”帝王”
(後半19分-MF19:美尾敦)
MF10:松井大輔
FW21:崔龍洙
(後半34分-FW11:田原豊)
FW9:黒部光昭

後半8分の大宮・冨田の退場で救われたか。
まぁそういう運の強さも監督の能力のひとつ。
ってことで、柱谷新監督初勝利おめでとう!