【J1第20節】浦和レッドダイヤモンズ 2-2 京都サンガF.C.

浦和レッドダイヤモンズ 2-2 京都サンガF.C.
日時:2022年7月6日(水)19:33KO
会場:埼玉県さいたま市埼玉スタジアム2002(1万5,921人/晴 24.4℃ 87%)
主審:中村太
10′-浦和/イェンス・ダヴィド・ヨアヒム・モーベリ=カールソン “ダヴィド・モーベルグ”(pen.)
※39′-浦和/モーベルグ PK失敗
54′-京都/武富孝介(ヘッド←CK:大前)
56′-京都/山田楓喜(左足←ウタカ)
59′-浦和/イェンス・ダヴィド・ヨアヒム・モーベリ=カールソン “ダヴィド・モーベルグ”

■浦和レッズ(4-2-2-2)
GK1:西川周作
DF2:酒井宏樹
DF4:岩波拓也
DF28:アレクサンダー・ショルツ
DF14:関根貴大(85′-DF44:大畑歩夢)
MF3:伊藤敦樹
MF19:岩尾憲
MF10:ダイェンス・ダヴィド・ヨアヒム・モーベリ=カールソン “ダヴィド・モーベルグ”
MF21:大久保智明
FW15:明本考浩(46′-FW33:江坂任)
FW11:松尾佑介

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK21:上福元直人
DF14:白井康介
DF5:アピアタウィア久
DF4:ホルネイケル・メンデス・マレイロス(46′-DF6:本多勇喜)
DF3:麻田将吾
MF24:川﨑颯太(46′-MF16:武田将平)
MF10:福岡慎平
MF7:武富孝介(71′-FW13:宮吉拓実)
FW27:山田楓喜(82′-FW23:豊川雄太)
FW9:ピーターウタカ
FW50:大前元紀(65′-DF31:井上黎生人)

埼スタよ、私は帰ってきた!

待ちに待ったときがきたのだ!
J2での戦いが無駄にでなかったことの証のために!
再びサンガの理想を掲げるために!
埼スタよ、私は帰ってきた!

……というわけで、蒸し暑い中を埼玉スタジアムへgo。
降格した2010年7月の第15節は仕事で見にいけなかったので、2009年以来か。
そして当時のブログ、文体が若い(苦笑)。

やはりスタジアムで見ると、DAZNとはまた違う発見があるな〜。

まず、自陣からのボール回しについて。
浦和が前からガツガツとハイプレスをかけてこなかったおかげで、ボール支配率は京都が55%。
ポゼッションサッカーを掲げる浦和を上回った格好だ。

特に、GKと2センターバックでぐるぐるとパスを回す時間が多かった。
その狙いとしては、相手のフォワードが「取れる!」と思わせるような、あえて喰いつかせるようにしていたのだと思う。
浦和の選手1人をギリギリまで喰いつかせておいて、中盤の底かサイドに展開。
そこで手詰まりになってしまったら、また最終ラインに戻して……の繰り返し。
相手の守りの綻びを探そうと、後方で根気よくパスを続けていた。

そういうときに、パスミスがあれば一気にピンチになるわけだが、
【1】無理にダイレクトでパスをせず、一度足もとに止めてから蹴る
【2】選手間でアングル(角度)を作って、自陣から前進を狙うパスを出す場合は必ず「斜め前方」に送る
ことで、リスクを回避していたのではないだろうか。
1回だけ誰かがやってしまっていたけど、自陣でのオシャレなパスや安易な横パスなどは少なかったと思う。

もうひとつ、ファイナルサードの攻略について。
きょうに関しては、とにかく福岡の動きがトリコだった。
ハーフスペース(サイド=ライン側でもなく、ピッチ中央でもないレーン)にめちゃくちゃ顔を出していたからだ。
そして、〝リードアクセル〟(サイドバック)や〝スイッチ〟(ウイング)の選手と絡んで、浦和最終ラインの突破を図る。

惜しむらくは、そこから上がるクロスの精度がイマイチだったり、マイナスのグラウンダークロスが合わなかったり……。
だけど、1得点目のコーナーキックは、まさに福岡の右ハーフスペースへの飛び出し→左ハーフスペースにいた大前→本田へのパス、という流れから生まれたものであることも記憶しておきたい。

試合後、曺さんのコメントを読んで膝を打った。
なるほど、前半戦の反省からボール保持に磨きをかけるトレーニングをしているのだな。

リーグ前半戦の反省として、前線から相手のボールに蓋をしていくプレスが一番にあって、ボールを持ってからのことが二番になるというデメリットがありました。
やはり飛行機に両翼があるように、両方ができないと今のモダンなフットボールに後れを取ってしまうと感じていました。
自分たちでボールを保持しながら相手陣内に入ることや、ボールを奪われても奪い返すということが、今日はよくできていたと思います。

https://www.sanga-fc.jp/game/2022070607/comment.php

もちろん上福元のPKストップだったり、被カウンター時における守備の危なっかしさほか、論点はたくさんある。
ただ、上記のようにチームが変わりつつあること、その端緒を感じられたことが、自分にとって興味深かった。
急な仕事も入らず、ミッドウィークに現地観戦ができてよかったよかった。

【J1第19節】京都サンガF.C. 2-1 北海道コンサドーレ札幌

京都サンガF.C. 2-1 北海道コンサドーレ札幌
日時:2022年7月2日(土)18:33KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(8,794人/晴 30.8℃ 64%)
主審:飯田淳平
9′-京都/ピーター・マドゥアブチ・ウタカ(右足)
58′-札幌/菅大輝
89′-京都/宮吉拓実(右足←川﨑←武田)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK21:上福元直人
DF14:白井康介
DF5:アピアタウィア久
DF3:麻田将吾
DF17:荻原拓也(82′-DF2:飯田貴敬)
MF24:川﨑颯太
MF10:福岡慎平(82′-MF25:中野桂太)
MF7:武富孝介(82′-FW13:宮吉拓実)
FW27:山田楓喜(69′-DF4:ホルネイケル・メンデス・マレイロス)
FW9:ピーター・マドゥアブチ・ウタカ
FW50:大前元紀(65′-MF16:武田将平)

■北海道コンサドーレ札幌(3-4-2-1)
GK1:菅野孝憲(15′-一発退場)
DF2:田中駿汰
DF50:岡村大八
DF5:福森晃斗
MF9:金子拓郎(85′-FW32:ミラン・トゥチッチ)
MF27:荒野拓馬(85′-DF20:西大伍)
MF6:高嶺朋樹(67′-MF8:深井一希)
MF4:菅大輝
MF18:ガブリエウ・アウグスト・シャヴィエル(20′-GK34:中野小次郎)
MF14:駒井善成
FW23:興梠慎三(46′-MF11:青木亮太)

宮吉拓実選手(京都)
「(交代にあたって)特に指示はなかったですけど、交代で入った選手が勢いだったり結果を出さなければ、という気持ちはありましたし、チャンスは必ず来ると思っていました。
(得点シーンは、川﨑)颯太からシュートを打ってくださいという優しいボールが来たので、うまくコントロールして流し込めました。
確実に決められてよかったです。
(ーー前回のゴールは先発、今回は途中出場のゴール)
どちらの試合も勝利してチームが勝ち点3を得ることができましたし、きょうに関してもうれしい結果になりました」

曺貴裁コーチ(京都)
「きょうは立ち上がりから1点取るまで、非常にいい内容でした。
去年から取り組んでいる『人とボールが動いて相手陣内でプレーしよう』というサッカーを、選手たちはピッチでよく表現してくれたと思います。
ただ、レッドカードが出てから逆に苦しい展開になったというか……。
ボール保持者に時間があることでかえって難しいことをしてカウンターを食らったりしたことは、本当に反省しなければいけません。
また、ひとり多いのに(札幌に)あれだけキレイにやられてしまうというのは、われわれのチームに隙があるから。
勝ったといって、手放しで喜べないです。
J1を経験している選手も少ないですし、こういった11人対10人で戦う経験もあまりないので、僕の中では最悪のケースも考えてはいました。
しかし、3バックにした後に、交代で入った宮吉が決めてくれた。
『あきらめない、まだ上に行きたいんだ』という〝京都スタイル〟を見せられたと思いますし、その面で言えば選手たちは頑張ってくれたと思います。
(ーー連敗を止められたことについて)
1試合1試合勝ち点3を狙うために努力をしてきましたけど、湘南戦では勢いとか気持ちで相手に上回られた部分もありました。
そこを真摯に向き合って、やってきたことが成果に出てうれしいです。
ですが、すぐまた試合があるので切り替えなければなりません。
(ーー失点シーンについて)
サッカーというのは一瞬で人生が変わるスポーツ。
ああいう局面では絶対に失点しないということをフォーカスするならば、あのシーンでの守備はすごくイージーでした。
そして相手を勢いに乗らせてしまったというところで言えば、われわれとしてはしっかりと向き合って改善しなければなりません。
ただ、ピッチの中で選手が自立していましたし、下を向かないで攻撃の姿勢を続けていけたのは、相手がひとり少なかったですけど、われわれにとってはポジティブなことだと捉えています。
(ーー次節・水曜日の浦和戦について)
浦和さんとアウェイで戦うというのは、スタジアムの温度も含めてプレッシャーがあります。
しかしいい意味で楽しんで、〝京都スタイル〟を埼玉で見せて、いい試合をして勝ちたいなと思います」

ミハイロ・ペトロヴィッチ コーチ(札幌)
「主審がGKを退場にしたシーンは、非常に疑問が残るジャッジだった。
最後は失点して力尽きてしまったけれど、ひとり少なくなっても選手たちは素晴らしいサッカーをやってくれたよ。
だって、逆に京都がひとり少ないかのような試合だったじゃないか」

ここから始まるレコンキスタ

2016-2019シーズン、「くそお世話になりました!」な菅野選手が前半早々DOGSOで退場。
思わぬ〝恩返し〟でこりゃ楽勝でしょ〜、と見ていたんだけどね……🤔
土壇場に宮吉のゴールが決まるまでは、札幌にペースを握られる時間帯もあり、非常に厳しいゲームだった。
とはいえ、これで連敗はストップ!! ひばりくん!
灼熱の7月、幸先よいスタートを切れたのは喜ばしい。

さて、ここ数戦は得点力不足に悩まされてきた京都。
きょうのゲームで〝スイッチ〟(ウイング)のふたりを変えてきた。
右に山田、左に大前。
比較的ボールを持てるタイプの組み合わせ。

その特性通り、サイドに張りすぎずハーフスペースにポジションを取ることで、中盤からのボールを引き出した。
また、ウタカともいい距離感をキープ。
ピッチの中央に選手が集まることで、特に前半は1タッチ、2タッチのパス交換から前進でき、攻撃のリズムが奏でることができていた。

このようにボックス近辺に選手を〝オーバーロード〟(過重積載)させることは、京都が狙いとしている作戦のひとつ。
ただ、17節鹿島戦から荒木選手を先発で使って単独突破に期待したり、前線の並びで試行錯誤が続いていた。
きょうに関しては、以前のやり方に戻してきたとでもいうか。
おそらくは、きょうの2点目「川﨑→宮吉」のような展開が、放り込みからではなく地上戦で実現されたら狙い通りなのだろう。

そして、〝オーバーロード〟は攻撃以外でも守備でもメリットがあると言われている。
選手が多く集まっていることで、その密集内でボールを取られたとしても、すぐにプレスをかけられるからだ。
で、試合後に曺さんが指摘していたように、密集した中で一番自陣側にいる選手がアバウトなパスを出してボールを失うシーンが数度あった。
そんなところでボールロストすれば、当然プレスをかけにいくこともできない。
必然、札幌のカウンターを許してしまっていた。

被カウンター時の、京都の守り方についても思ったことを書いておく。
京都は攻撃時、両〝リードアクセル〟(サイドバック)が高い位置を取る。
なのでカウンターを食らった場合は、サイドはガラ空き。
ただし、失点に直結する真ん中はセンターバックが閉めておく、というのが守備時のセオリーだと思う。

しかし、きょうに関しては札幌のウイングバック、金子&菅選手がかなり凶悪。
1対1になって縦に仕掛ければ、京都の守備陣が簡単に突破を許す場面も多かった。
被カウンター時だけとはいえ、サイドにスペースを与えていれば決定的なピンチを迎えてしまう。
メンデスを入れて3バックにしたのは、1点を取りに行くためというよりは、サイドの守り方を変えるためだったのではないか?と推察した。

いずれにせよ、10人の札幌に苦戦しながら最後、よく宮吉が決めてくれた、というゲームだった。
狭いスペースの中で、川﨑のダイレクトフリックを足もとに止めて、GKの位置をチラッと確認しながら、トゥーキック気味にコンパクトに足を振るーー。
ゴールシーンだけでご飯3杯ぐらいいけるね。

【J1第18節】京都サンガF.C. 0-1 湘南ベルマーレ

京都サンガF.C. 0-1 湘南ベルマーレ
日時:2022年6月26日(日)18:33KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(7,540人/晴 28.7℃ 67%)
主審:世界の 西村雄一
87′-湘南/町野修斗

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK21:上福元直人
DF2:飯田貴敬
DF5:アピアタウィア久(46′-DF4:ホルネイケル・メンデス・マレイロス)
DF3:麻田将吾
DF17:荻原拓也(65′-DF14:白井康介)
MF31:井上黎生人
MF19:金子大毅
MF7:武富孝介(86′-FW13:宮吉拓実)
FW23:豊川雄太(71′-FW50:大前元紀)
FW9:ピーター・マドゥアブチ・ウタカ
FW8:荒木大吾(46′-MF10:福岡慎平)

■湘南ベルマーレ(3-1-4-2)
GK1:谷晃生
DF4:舘幸希
DF22:大岩一貴
DF2:杉岡大暉
MF7:田中聡(83′-MF15:米本拓司)
MF3:石原広教
MF27:池田昌生(71′-FW17:大橋祐紀)
MF14:茨田陽生(71′-FW11:タリク・エルユヌシ)
MF42:高橋諒(83′-DF26:畑大雅)
FW13:瀬川祐輔
FW18:町野修斗(89′-FW9:ウェリントン・ルイス・ヂ・ソウザ)

曺貴裁コーチ(京都)
「悔しい負け方です。
戦う前から、湘南さんがどういうサッカーをやってくるかはわかっていました。
そんな中で、時間がたてばたつほど、流れを読みきれないというか、若さが出たプレイが頻発してしまった。
選手たちはファイティングスピリットを出してやってくれましたし、負けた責任を問うつもりはありません。
しかし、一瞬一瞬のプレイで局面が大きく変わってしまって、結果として大きな代償を払うことになるという事実は、チームとしてしっかりと認識しなければならないと思います。
これでシーズンは終わりではありませんから、次戦に向けて切り替えます。
(ーー後半3バックに変更した理由は?)
前半相手のやりたいことがわかっていたので、後ろ3枚にして『カウンターのチャンスがあれば』と割り切って戦いました。
もちろん4バックのままやっていたほうがよかったかもしれないですし、それは見ている方が判断してもらえれば。
ただ、勝ち点3を取るための采配はとったつもりです。
(ーー失点シーンを振り返ると?)
選手が入ったばかりの失点で、交代タイミングがどうだったのだろう?と自分としては反省しなければいけません。
ただ……、別に後悔はしていないです。
勝負の厳しさがわかったということで、自分も初心に戻ってやらなければいけないと感じました」

山口智コーチ(湘南)
「みんなにありがとうと言いたいです。
最後のところをこじあけるのが、長らくの課題でした。
きょうゴールが決まって、成長を感じましたね。
相手が3バックに変更しても、選手たちの声がけなどを聞くと整理ができていたので、信じることができました」

一瞬の夏

試合直後、曺さんのフラッシュインタビューを聞く限り、かなりの悔しさが伝わってきた。
そして、記者会見でのコメントを読んで、悔しさの理由がよくわかった。
フォーメーション変更、選手変更のタイミング。
采配次第で結果が変わっていたのではないだろうか?という〝疑問〟を、指揮官としては抱いてしまうんだろうな。

確かに、後半開始すぐに3バックに切り替えたのは、「えっ?」と驚いた。
前半、押し込まれている時間はあったものの、京都がやや優位と感じたからだ。
特に、シーズン開幕直後、アウェイの湘南戦では試合を通してほぼ相手ペースだっただけに、チームの成長を感じたほどだった。

3バック(守備時は5-3-2)になって、豊川、ウタカへの裏抜け狙いのパスが多くなったのはやむをえないところ。
また、この日の豊川選手がハイボールの競り合いで頑張っていたことで、ウタカにチャンスボールがこぼれる可能性もあっただろう。

一方で、京都が 4-3-3で目指しているスタイルを、後半ほぼ表現できなかったのも事実だ。
すなわち、シャドー(スイッチ)の2選手がハーフスペース(サイド側でも真ん中でもない、中間のレーン)に位置して、勢いよく攻め上がってくるサイドバック(アクセル)、ボックス付近に上がってくるインサイドハーフ(BtoB)と絡んでゴールを目指す。
もしボールを失なったとしても、選手たちを前に多く配置しているので、すぐに奪い返すことをめざす。
ーーそうしたプレイがあまり見られなかった。

記者会見での曺さんのコメント、

「前半、我々のサイドが高い位置を取った時にシャドウが外に飛び出してずらしてくるのが分かっていたので、そこの事故で点を取られるより、きちっといつもやっている形で安定させて、前に人数をかけて追い越して点を取っていこうという狙いがありました」

https://www.sanga-fc.jp/game/2022062605/comment.php

「我々がきちっとアングルプレーでつなぐことができれば、あの勢いを折ることはできたと思いますが、あの状況の中でハイテンションになってしまって、単なる球際の勝負だけで彼らに時間を使われたり、自分たちの陣内に押し戻されたのは、戦いの幅がまだまだ足りなかったのが原因だと感じています」

https://www.sanga-fc.jp/game/2022062605/comment.php

というくだりは、それぞれ味わい深い。
前者は、前半に何回かサイドを破られたシーンが「失点への綻び」だと感じたということ。
後者は、選手間で斜めのポジションどりをして、パス回しでプレスをいなせることができなかったことは、チームとしてまだ成熟していないと感じていること。
そのように換言できるだろうか。
なるほどな、と感じた。

とはいえ、シーズン前半は
「われわれのサッカーを貫き通す」
「リスクを承知で、このサッカーを選手たちにやらせている」
とおっしゃっていたのと比べると、きょうの京都はより〝リアリスト〟となることを選んだのだな、と思ったのだった。

シーズン後半戦に入り、前半戦よりも結果(=勝ち点)を求めるようになったのか。
あるいは、最近勝利が少ないことからきた〝焦り〟なのか。
こればかりは、外野からはわからないことだ。

梅雨明けも迫り、気温が30度近い中での試合。
各チーム、二巡目の戦いとなり、前半戦以上に〝京都対策〟を講じられるだろう。
勝負の夏、がいよいよ始まる。

【JFA第102回全日本サッカー選手権大会3回戦】清水エスパルス 0-1 京都サンガF.C.

天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会3回戦 【match66】
清水エスパルス 0-1 京都サンガF.C.
日時:2022年6月22日(水) 19:00KO
会場:静岡市清水日本平運動公園球技場(2,302人/雨 23.0℃ 86%)
主審:大坪博和
57′-京都/中野桂太(右足←大前)

■清水エスパルス(4-2-2-2)
GK21:権田修一
DF4:原輝綺
DF2:立田悠悟
DF50:鈴木義宜
DF29:山原怜音
MF13:宮本航汰
MF6:竹内涼(78′-MF18:白崎凌兵)
MF16:西澤健太(85′-MF26:滝裕太)
MF32:ベンジャミン・コロリ(63′-FW14:後藤優介)
FW19:ディサロ燦シルヴァーノ(63′-MF17:神谷優太)
FW9:チアゴ・サントス・サンタナ(63′-FW20:オ・セフン)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK32:マイケル・コーネリス・ウッド
DF14:白井康介
DF5:アピアタウィア久
DF4:ホルネイケル・メンデス・マレイロス
DF6:本多勇喜(79′-DF3:麻田将吾)
MF10:福岡慎平(65′-MF19:金子大毅)
MF25:中野桂太(79′-DF31:井上黎生人)
MF7:武富孝介
FW13:宮吉拓実
FW50:大前元紀(79′-DF2:飯田貴敬)
FW28:田中和樹(73′-FW23:豊川雄太)

大前→中野の技あり”美”ゴール

サブメンバー中心で、リーグ戦メンバー中心の清水に勝利、わっしょい。

対戦相手・清水は指揮官が交代したばかり。
リーグ戦で対戦したときはハイプレッシャーからの縦に早い攻撃だったけれど、深追いはしない守備&攻撃はポゼッション寄りのサッカーに変えようとしているのかな。
そのおかげか、京都はボールを保持する時間帯が長かった。
清水の戦術移行期間に対戦できたのが、よかったのかもしれない。

とはいえ、なかなかシュートまで持っていけなかったのも事実。
ボックス周辺でワンツーパスをしていても相手守備網を崩せないので、パス出した後に裏に走る動きがもっと必要だよな〜。
……と思っていたら、中野桂太選手がまさにそんな動き!
そこに、大前選手のテクニカルな浮き球スルーパス!
で、先制ゴールが決まった。

79分にはディフェンダー3人を投入。
3バックにして守り切った。

前の試合、リーグ戦・鹿島戦ではインサイドハーフ(BtoB)に守備能力の高い2選手を起用した。
一方、この日は攻撃面に強みがある2選手を起用して、結果的には功を奏した格好だった。
もちろん、武富選手も中野桂太選手もプレスでかなり走り回っていたけどね。

結果を出した選手たちは、次節先発orベンチ入りもあるかな?

追伸:Instagram、いい写真!

【J1第17節】鹿島アントラーズ 1-0 京都サンガF.C.

鹿島アントラーズ 1-0 京都サンガF.C.
日時:2022年6月18日(土)18:03KO
会場:茨城県立カシマサッカースタジアム(1万2,179人/曇一時雨 23.2℃ 31%)
主審:清水勇人
50′-鹿島/アルトゥール・カイキ・ド・ナシメント・クルス

■鹿島アントラーズ(4-2-3-1)
GK1:クォン・スンテ
DF32:常本佳吾
DF5:関川郁万
DF6:三竿健斗
DF2:安西幸輝
MF14:樋口雄太(79′-DF20:キム・ミンテ)
MF21:ヂエゴ・クリスティアーノ・エヴァリスト “ディエゴ・ピトゥカ”(90+1′-MF34:舩橋佑)
MF33:仲間隼斗(75′-FW9:エヴェラウド・ストゥン)
MF11:和泉竜司(90+1′-DF22:広瀬陸斗)
MF17:アルトゥール・カイキ・ド・ナシメント・クルス(90+1′-FW19:染野唯月)
FW18:上田綺世

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK21:上福元直人
DF2:飯田貴敬
DF15:長井一真(53′-MF16:武田将平)※脳震盪による交代(60′-MF10:福岡慎平)
DF3:麻田将吾
DF17:荻原拓也
MF31:井上黎生人
MF19:金子大毅
MF24:川﨑颯太
FW23:豊川雄太(64′-DF14:白井康介)
FW9:ピーター・マドゥアブチ・ウタカ
FW8:荒木大吾(75′-FW39:オリグバッジョ・イスマイラ)

レネ・ヴァイラー コーチ(鹿島)
「チームは失点の多さに悩んでいたから、きょうはクリーンシートに終わってよかったよ。
Jリーグは順位表を見ればわかるように、各チームの実力が拮抗している。
だから、どの相手にも勝ち点3を取るのはとても難しいことなんだ」

曺貴裁コーチ(京都)
「選手は100%力を出したと思います。
結果は残酷なものですけども、自分たちがやるべきことをやらないでそうなったわけではありません。
自分たちから仕掛けていって、きょう結果が得られなかったことは非常に悔しく思います。
ただ、われわれはこういうシビアな経験を重ねながら成長していくんだ、という覚悟をもってやっているつもりです。
ホームでアントラーズさんを迎えたときにきょうの借りを返したいと思います。
繰り返しますが、選手たちはよくやってくれました。
(ーー後半の選手交代の意図は?)
状態が悪いというか怪我をしている選手もいた中で、得点を返していかなければいけないですから、手を打ったつもりです。
惜しい場面もありましたけれど、アントラーズさんも集中力が高く、最終的にゴールをこじ開けられませんでした。
選手がじっと見ているわけじゃなくて仕掛けていって、でも得点が取れなかった。
そのことを修正して、次の試合に挑みたいと思います」

試行錯誤の鹿島灘

とにかく、セットプレイ以外でゴールの臭いがまったくない。
無香空間!(by 小林製薬)
1点取られてからは「相手の最終ラインがボール扱いをミスってくれないかな〜」と願うぐらいしかできなかった。
そんな試合だった。

なぜ、最近こんなにゴールが遠くなってしまったのか?
振り返るに、横浜FM戦での完敗あたりから、守備の仕方を微修正したことに端を発しているのかな、と。

つまり、
 複数の人をかけてのハイプレスを抑え気味にする
 →当然、前線〜中盤でボールが奪えないようになる
 →なかなかシュートまでイケなくなる
って感じ。
高い位置でボールを奪って、最短距離でゴールに迫るということができていない。
とはいえ、低い位置からのビルドアップも、J1の上位チームだと苦しい。
そういう状況に、いまのサンガは陥っていると言っていいのではないか。
ちょうどシーズン半分が終わったところだけど、チームとして大きな〝壁〟にぶち当たっているところ。

きょうの先発、中盤で
・井上=アンカー(ホールディング7)
・守備力が高い川﨑、金子=インサイドハーフ(BtoB)
で使ったのも、現状を打破したいという狙いからではないかと推測する。
ボール奪取力が強い3人を中盤に置くことで、
「なるべく相手ゴールに近い位置でボールを奪って、シュートへ」
というシーンをつくりたかったのではないか。

一方、試合終盤でウタカを左ウイングに、荻原を左サイドバックから右ウイングに配置転換したのも興味深かった。
ここ最近、1点が欲しいときは3バックにしていたけれど、きょうは4-1-2-3を堅持。
曺さん用語でいうところの「スイッチ」の位置に、ボールを持てて、なおかつ、カットインからシュートまで運べる選手を置いた格好だろうか。

ーーと、試行錯誤が見られたけれど、結果としては0-1の敗戦。
上福元の神セーブがなかったら、もう2点ぐらいは取られていたかもしれないし。
残念ではあるけれど、妥当な結果なのかな。

さて最後に、スローインに関してはなんとかならんかな?と、あらためて思った次第。
スローインで投げるところがなかったり、受けた選手がダイレクトで返そうとして出し手と息が合わないことが、開幕から繰り返されているような気がして……。
きょうのゲームでは、飯田選手が強くて早いボールをピッチ中央に放ってチャンスになったのが唯一よかった。
一方で試合終了間際、白井→川﨑で起きたミスは残念。
スローイン専門コーチ・Thomas Gronnemark(トマス・グローネマーク)氏のスローイン原則


「基本的にスローインは足もとでピタリと止められるように投げるべき。スネより上だとトラップが難しい」

https://number.bunshun.jp/articles/-/852302?page=2

というのが、プロレベルでも大事なのだな〜と思った。