【J1第3節】京都サンガF.C. 2-0 FC東京

京都サンガF.C. 2-0 FC東京
日時:2023年3月4日(土)14:03KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(1万3,255人/晴 14℃ 44%)
主審:福島孝一郎
75′-京都/川﨑颯太(ヘッド←木下)
90+1′-京都/アンデルソン・パトリッキ・アギアール・オリヴェイラ “パトリック”(pen.)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK1:若原智哉
DF14:白井康介
DF4:井上黎生人
DF3:麻田将吾
DF44:佐藤響
MF7:川﨑颯太
MF10:福岡慎平(82′-DF24:イヨハ理ヘンリー)
MF16:武田将平(64′-MF19:金子大毅)
FW27:山田楓喜(64′-MF25:谷内田哲平)
FW9:アンデルソン・パトリッキ・アギアール・オリヴェイラ “パトリック”
FW17:木下康介(90+2′-FW11:山﨑凌吾)

■FC東京(4-1-2-3)
GK27:ヤクブ・スウォビィク
DF5:長友佑都(78′-MF26:寺山翼)
DF4:木本恭生
DF3:森重真人
DF49:バングーナガンデ佳史扶
MF10:東慶悟
MF37:小泉慶
MF35:塚川孝輝(78′-FW48:荒井悠汰)
FW39:仲川輝人(57′-FW33:俵積田晃太)
FW9:ヂエゴ・ケイロス・デ・オリヴェイラ “ディエゴオリヴェイラ”
FW15:アダイウトン・ドス・サントス・ダ・シウヴァ(69′-FW22:ペドロ・エンリケ・ペロッチ)

川﨑颯太選手(京都)
「僕は身長がそんなに高くないですけれど、ああいったセカンドボールや相手が緩んだところは常に狙っています。
待っているところにボールが来てくれたので、本当にパワーをこめて思いっきり飛んだら……入ってよかったです(笑)。
開幕戦はこのサンガスタジアムで不甲斐ない戦いをしてしまったので、きょうはサポーターのみなさんに盛り上がってもらえる、ワクワクしてもらえる試合にしたいと臨みました。
ゴールという最高の形で、みなさんに恩返しできてよかったなと思います。
ただ、まだ3試合目で、1勝をしただけ。
すべての問題が解決したわけでもないし、カップ戦の試合も入ってきます。
これからもチーム全員の力で、サンガをより熱くさせていきたいと思います」

曺貴裁コーチ(京都)
「3試合目にしてようやく自分たちのバランスを取り戻せた。
パーフェクトに近いゲームができたと思います。
そして、悔しい思いをさせてしまったサポーターのみなさんに、きょう喜んでもらえたことが何よりよかったです。
この2試合、悪いところばかりではなかったですし、J1で2年目を迎える選手たちのやる気が空回りしている部分もありました。
『相手を迎え撃つのではなく、自分たちの良さを出す』という狙いの中で、勝ち点3を取れた。
そのことにたいして、成長を選手たちから感じます。
また、勝ったこと以上に『自分たちらしさを取り戻すために何をしなければいけないのか?』を共有して選手たちを送り出して、ほぼ完璧にやれたということが、いまの時点でうれしいことです。
来週からはカップ戦も始まります。
われわれは全員で戦っていくチーム。
上位進出ができるように、あしたから練習をして準備していきます」

アルベルト・プッチ・オルトネダ “アルベル”コーチ(FC東京)
「戦前の予想どおり、インテンシティの高い試合だった。
京都のインテンシティの高いプレイに影響されて、われわれはボールを落ち着かせることもライン間のプレイもなかなかできなかったというのが正直なところだ。
このような試合なら、先制点を取ったチームが勝ち点3を取ることになるだろうね。
われわれはゲームに勝つためにゲームをコントロールしたい。
しかし、それがきょうはできなかったんだ」

3戦目のレコンキスタ

復ッ活ッ!!
京都サンガ復活ッッ!!
ハイプレス復活ッッ!!

ーー烈海王ならずとも、そう言いたくなるナイッスゲーム。
試合を通して前からプレスをかけまくる、〝高強度and高密度〟のサッカーが帰ってきた。
いやぁ鹿島戦とはまるで別人の動きじゃないですか、奥さん。
開幕節ではなく、この試合を見にいきたかった……(←年度末繁忙期ゆえの死んだ目で)。

きょうの京都はフォーメーションを4-1-2-3に戻しつつ、3トップの組み合わせを一新。
右・山田、センター・パトリック、左・木下。
3人そろって鬼の運動量で、相手DFがボールを持つとプレッシャーをかけまくる。
そして、3人の関係性・補完関係も1節、2節の3トップより優れたものだった。

まず、新加入の木下が入った(サンガデビュー)左サイド、
背高ぇ〜、顔小せぇ〜。
ストライドの大きいランで、全速でプレスをかける迫力はすごかった。
また足もとも巧みで、DFに囲まれながら突破を図ろうという場面も。

次に、右サイド。
いままで豊川が入っていたけれど、一発の裏抜けを狙ったりして起点になりきれてなかった印象だった。
対して山田は、ある程度ボールを収められて、左利きゆえカットインする動きを見せることができる。
結果として、右サイドバックの白井に攻め上がるスペースを提供できていた。

中央、パトリックの高さはさすが。
最終ラインからのロングボールで相手陣地内に混戦をつくってボールを回収しようという、ロジャー・シュミット(現ベンフィカ)っぽい展開もパトリックがいるからこそ実現できていた。

彼ら3トップがボールを追いかけ回すのに合わせて、最終ラインも高い位置をキープ。
F東が前線の選手にボールを入れても、素早く接近して後ろから体を預けるようにして相手に自由を与えない。
そして〝第一の矢〟に続いて、周囲の選手もプレッシングに加勢。
ボールを奪えば、密集したスペースから縦への展開を目指す。
特にきょうはボールサイドに選手を多く集める場面が目立っていたと思う。
また両サイドバックは、対面するウイングの選手が引いてボールをもらいに行ったら、後ろを気にせず高い位置までプレスに向かっていた。

ポゼッションサッカーを掲げるF東に対して、ボール保持率で上回る展開。
あとはゴールだけ……と願っていたら、新キャプテン・川﨑颯太がセットプレイの流れから先制ゴール。
PKながら主砲・パトリックも今季初得点。
2-0の完勝を収めることができたのだった。

曺さんも「パーフェクトに近いゲーム」と振り返った一戦。
もちろん、対戦相手のF東に離脱者が多く、ディエゴオリヴェイラ、アダイウトンのコンディションが上がりきってなかったこともあるだろう。
だが、昨シーズン9月、アウェイ・国立戦(くしくも最終ラインは、きょうと同じ4人だった)ではプレッシングをいなされ、まったく歯が立たなかったことを思い出せば、チームは確実に成長している。

「今季やべぇかも……」と思っていた不安は、一気に解消されたね。
つーか、1試合でサッカーが一変するなんて、曺さんほかコーチ陣はどんな〝魔法〟をかけたんだろうか。

【J1第2節】名古屋グランパスエイト 1-0 京都サンガF.C.

名古屋グランパスエイト 1-0 京都サンガF.C.
日時:2023年2月25日(土)16:03KO
会場:愛知県豊田市豊田スタジアム(2万1,327人/晴 7.8℃ 20%)
主審:今村義朗
62′-名古屋/永井謙佑

■名古屋グランパスエイト(3-4-2-1)
GK1:”ミッチ” ミッチェル・ジェイムズ・ランゲラック
DF13:藤井陽也
DF4:中谷進之介
DF3:丸山祐市
MF17:森下龍矢
MF15:稲垣祥
MF6:米本拓司
MF7:和泉竜司(77′-MF34:内田宅哉)
FW10:マテウス・ドス・サントス・カストロ
FW77:キャスパー・オーランド・ユンカー
FW18:永井謙佑(77′-FW9:酒井宣福)

■京都サンガF.C.(3-4-2-1)
GK1:若原智哉
DF5:アピアタウィア久
DF4:井上黎生人(77′-DF24:イヨハ理ヘンリー)
DF3:麻田将吾
MF14:白井康介
MF7:川﨑颯太
MF19:金子大毅(77′-FW47:パウロ・エンリキ・ペレイラ・ダ・シウヴァ “パウリーニョ・ボイア”)
MF44:佐藤響(77′-MF8:荒木大吾)
FW23:豊川雄太(67′-MF25:谷内田哲平)
FW9:アンデルソン・パトリッキ・アギアール・オリヴェイラ “パトリック”
FW22:一美和成(58′-FW11:山﨑凌吾)

曺貴裁コーチ(京都)
「互いにゴールチャンスは同じぐらいあって、決めきれなかった京都が勝ち点1も取れなかったという現実があるだけです。
ただ、下を向く内容ではなかったなと思います。
J1で2年目、こういう強度と質を伴うゲームのなかで勝っていくためには、名古屋さんから学ばなければいけないこともあるでしょう。
(得点を取れるようになるには)自分たちの質を高めるために、いまの状況のなかで、信じつづけて貫いていくことだと思います。
守備では、自分たちのクリアミスでピンチになったことはありましたが、全体的に相手がボールをもったときのストロングポイントは後ろの3人を中心に潰せていました。
1点取られてしまって完璧ではなかったですけれど、それも含めて成長が見られたかなと思います。
次戦に向けて、この1週間でいかにリカバーしてポジティブに持っていけるか。
選手といっしょに準備をしていきます」

狼だけが生き残れ

最悪といってもいい出来だったあの試合から、1週間。
京都サンガは「本当の開幕」と意気込んで、この日に臨んだ。
結果は敗北、いまだゴール0、勝ち点0。
そうした数字よりも、チームとしての躍動感、一体感があまり見られないのが厳しい。
“病巣”は根深い。

京都は前節からスタメンを5人変更してきた。
名古屋のシステムに合わせてディフェンスラインは3バック。
3トップにはパトリックを頂点に、左に一美、右に豊川。
懸案の左ウイングバックには、前節ベンチ外だった佐藤響が入った。

対する名古屋の戦術は、完全なるリトリート。
京都の最終ラインがボールをもっても、ハーフウェイライン付近まではプレッシャーをかけてこない。
逆に京都が前がかりになったところを、ボールを奪って素早く3トップを走らせ、広大なスペースを突く狙いだった。

名古屋の3トップは、京都のウイングバックが上がった裏のスペースに代わる代わる顔を出していく。
そこでボールを収め、ウイングバックの追い越しを待つ。
シンプル、かつ、ある程度パターン化された動きながら、京都DF陣は何度も突破を許してしまっていた。

翻って、京都のほうはというと……。
パトリックに訪れた2つの決定機ーー。
47分、名古屋クリアボールが川﨑に当たってボールが転がってきて相手DFをかわして左足シュート。
59分、名古屋のパスミスを奪って相手DFを押し退けながら右足シュート。
これ以外は、なかなかシュートらしいシュートを打てないのだった。

相手ボックス付近までボールを運んでも、大外のウイングバックに渡ったところで手詰まりになってしまう。
右サイド白井の縦突破は警戒されており、左サイド佐藤はそもそも1対1で相手を抜き切るようなタイプでもない。
サイドからクロス、グラウンダーのパスがなかなか入らなかった。

攻撃の糸口として可能性を感じたのは、パトリックへの放り込み、一美のキープ力だろうか。
しかし、パトリックがハイボールを競っても、近くにこぼれを拾える選手が少ない。
3-4-3で中盤センターが薄いことと、名古屋が中央をがっちり固めて守っていることもあり、中央突破もなかなか難しい。

と、振り返ってみて、ポジティブな要素が少ないなぁ〜。
とりあえずは、パトリックへ長いボールを入れた場合は、しっかりとセカンドボールを拾えるような選手の配置と意思統一。
そこは徹底したほうがよさそうだな。

3月ぐらいまでは選手を入れ替えつつ、配置も含めて試行錯誤が続きそうな雰囲気だ。

【J1第1節】京都サンガF.C. 0-2 鹿島アントラーズ

京都サンガF.C. 0-2 鹿島アントラーズ
日時:2023年2月18日(土)14:03KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(1万5,988人/曇 9.2℃ 71%)
主審:谷本涼
8′-鹿島/ヂエゴ・クリスティアーノ・エヴァリスト “ヂエゴ・ピトゥカ”
34′-鹿島/知念慶

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK1:若原智哉
DF14:白井康介
DF3:麻田将吾
DF4:井上黎生人
DF20:福田心之助(68′-MF25:谷内田哲平)
MF7:川﨑颯太
MF10:福岡慎平(46′-DF5:アピアタウィア久)
MF16:武田将平
FW11:山﨑凌吾(53′-FW9:アンデルソン・パトリッキ・アギアール・オリヴェイラ “パトリック”)
FW15:木村勇大(46′-FW47:パウロ・エンリキ・ペレイラ・ダ・シウヴァ “パウリーニョ・ボイア”)
FW23:豊川雄太(46′-FW22:一美和成)

■鹿島アントラーズ(4-1-2-3)
GK29:早川友基
DF32:常本佳吾
DF55:植田直通
DF5:関川郁万
DF2:安西幸輝
MF25:佐野海舟
MF14:樋口雄太(62′-MF8:土居聖真)
MF21:ヂエゴ・クリスティアーノ・エヴァリスト “ヂエゴ・ピトゥカ”
FW15:藤井智也(73′-MF27:松村優太)
FW40:鈴木優磨(81′-MF17:アルトゥール・カイキ・ド・ナシメント・クルス)
FW13:知念慶(81′-FW37:垣田裕暉)

愛と憂鬱が交差する場所

久しぶりの開幕戦、現地観戦!
2月のサンガスタジアム、心配していた寒さはそれほどではなかった。
しかし、試合内容はチョ〜激寒🥶
今シーズンの先行きを不安視してしまうような京都サンガの戦いぶりだったな。

危機感を感じたポイントはおもに3つ。

まず、前線の「質」的な問題。
鹿島は京都のハイプレス回避で、前線への長いボール、ハイボールを多用してきた。
鈴木、知念は巧みに体を使って競り合いに勝って、ボールをキープ、京都陣内で起点をつくることに成功する。
一方、特に前半の京都3トップは精彩を欠きまくっていた。
低い位置に降りてきても背中に背負った相手DFに競り負けたり、あるいは、無理な突破を図ってボールを奪われたり。
そのせいで、後ろの選手たちが押し上げることもできず、前半45分に関しては惜しいシュートを撃つシーンすら見られなかった。

続いて、11人全体=チーム力としての問題。
昨シーズン大活躍だったGK上福元、SBとして左サイドの縦突破を担ってきた荻原がOUT。
両者の不在を、今シーズンのスカッドでは補い切れていないという思いは拭えない。
特に左SBについて、きょうの試合では対面する藤井のドリブル対応もあって福田→(後半3バックになって)白井→(後半途中から)福田と頻繁に入れ替え。
ルーキー開幕スタメンの福田くんは頑張ってたけど、サイドライン際の動きで危なっかしいところもあり、左利きならなぁ……と思うことも多々あった。
左SBのポジションに関しては、枠を空けてでも補強をする必要性があると感じたほど。

最後は、戦術的な問題。
昨シーズン後半、深刻な不振に陥ったときのサッカーから大きな上積みは見られなかった。
選手のポジショニング、ボールを受けに行く動き、中盤の選手の追い越し、”ポケット”の攻略etc.。
いずれもピッチで目撃することはできず、唯一の決定機も相手のパスを引っ掛けた一美のカウンターによるもの。
キャンプでは「後ろから繋いで突破をできるように」とトレーニングを積み重ねていたと聞くが、まだまだ道険し……だ。

開幕戦早々、ヤバヤバな京都サンガのあしたはどっちだーー?
というわけで、おそらく次節は先発を結構いじってくると思うんだけど、どれだけ改善ができるか。
2試合目にして早くも今季の帰趨を決めるゲームになりそうだと、亀岡から帰る電車の中で思ったのだった。

ヴァンサン・コンパニのRSCアンデルレヒト監督時代

スポニチにこんな記事が上がっていた。
オフシーズンにヨーロッパへ視察に行ったとき、ヴァンサン・コンパニ(元ベルギー代表)が率いるバーンリーのサッカーが大いに参考になったという。
■京都・曺貴裁監督 今季モデルクラブとしているのは…「彼らの攻撃にヒントを得た」
https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2023/01/13/kiji/20230113s00002179308000c.html

……今季のチームモデルとしてイングランド・チャンピオンシップ(2部相当)の首位バーンリーを取り入れていることを明かした。昨年オフに約2週間のオランダやドイツを含めて欧州視察。その中で観戦したバーンリーのサッカーに魅了されたという。「得点をどう取るのかという面で彼らの攻撃にヒントを得た。突出した選手はいないけど、全員が何かしらで(得点に)関わっている。たまたま個でいったとかではなく。すごく良いチームだった」……

ヴァンサン・コンパニに関しては昨年末にOpta Analystにこんな記事が上がっていて、気になっていた。
「コンパニはすでにランパードや、スティーブン・ジェラードよりもマネージャーとしてはるかに高いポテンシャルを間違いなく示している」というのだ。
■ヴァンサン・コンパニは、ペップ・グアルディオラの後任として最終的にマンチェスター・シティに就任する可能性があるのか?
https://theanalyst.com/eu/2022/12/vincent-kompany-burnley-manchester-city-manager/

1試合あたりの平均ポゼッションは、マン・シティの66.6%に対し、彼のバーンリー・サイドは63.6%、パス成功数はシティの610.1に対し466.3である。また、1試合あたりのパス成功数はシティが610.1本であるのに対し、バーンリーは466.3本と、いずれもイングランドリーグの2部リーグでトップ4に入っている。

今季就任したバーンリーでの戦いぶりから「グアルディオラの後任候補」と称されるコンパニ。
いったい、どんなサッカーを見せているのだろうか?

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RSCアンデルレヒト(ベルギー)での3年間

コンパニが監督としてのキャリアをスタートさせたのは、2019-20シーズン。
選手として長くプレイしたマンチェスター・シティを退団し、古巣・アンデルレヒトで「選手兼任監督」に挑む。
就任時には、マンC時代に監督だったジョゼップ・グアルディオラの影響を受けていると公言。
ポゼッションスタイルのサッカーを目指す、としていた。

しかし、指揮するチームは開幕から深刻な成績不振に陥ってしまう。
もともと監督としてのライセンス(UEFAプロライセンス)を持っていなかった背景もあって、「試合日は選手に専念する」こととなった。
2020-21シーズンからは監督専業になるも、2シーズンとも3位に終わり、3年契約が終了。

そんな経緯から、「マンC流のポゼッションサッカーを目指すも、結果が出せなかった」という印象を個人的に持っていた。
しかし、特に最終シーズン(2021-22シーズン)は専門家筋も注目するサッカーを展開していたらしい。
いくつかのweb記事とYouTubeの動画をもとにまとめてみる。

攻撃面の特徴〜ビルドアップ

フォーメーションは、最初の2シーズンはほぼ4-2-3-1で、最終シーズンは4-2-2-2のフォーメーションに。
ボールを持ってビルドアップする局面では、

  • 2人のセンターバックの右横に選手が1枚下がって3バックを形成
  • 3バックと前線との間は「距離」をおく
    のが特徴的だ。

まず3バック化に関して。
最終サインからボールを繋ぐときアンカーがCBの間に落ちて3バックとなる形はよく見かけるが、〝コンパニ流〟は4-2-2-2のボランチの1枚、あるいは右サイドバックが右のCBに入る。
バリエーションがあることで、相手にとってはプレスに行くターゲットが定めづらくなるのは間違いない。

3バックに、アンカー1人、攻撃的MF2人、フォワード2人に左右のウイングバックの「3-1-4-2」で、センターバックがボールをもったときは、アンカー以外は高い位置を取る。
一見、最終ラインと前線が間伸びしたポジショニングに見えるけれど、左右センターバックがボールを持って持ち上がるためのスペースを空けておくのだ。
そして最終ラインでパスを回して、相手フォワードのプレスを誘い、前線へのパスかセンターバックのオーバーラップで相手に守備〝第1ライン〟を突破しようと試みる。

攻撃面の特徴〜ゴールへの展開

最終ラインから首尾よくボールが前に運べたら、いかにゴールに向かうか。
そのために、いかに流動的に選手が動いてスペースをつくるか、いかに相手の最終ラインの裏に走りこむ選手を作り出すか、がポイントになる。

フォワードを高い位置に2枚置いているのは、相手ディフェンダーを引きつけることができるだろう。
フォワードがサイドに流れれば空いたハーフスペースを味方(攻撃的MFやウイングバック)が攻め上がり、フォワードがDFを背負いながらボールを受けにいけば味方が駆け上がる。
また、裏への走り込みはバーチカル(縦方向)だけでなく、斜めから相手の裏を突くことも多い。

守備面の特徴

守備は奪われたらすぐ取り返すためハイブレスは大前提。
しかし、そこでボールが奪えなければ、4-4-2にセットして守備陣形を整え直す。
2トップはパスコースを切ることを優先し、やみくもなプレッシングはかけない。
プレス開始は、相手が中盤までボールを運んでからとなる。

その段階で4バックは高い位置を取り、前線から最終ラインまではかなりコンパクトになっている。
中央にはほぼスペースがなくなるため、相手はサイドに展開することが多くなり、そのタイミングで素早くプッシュアップして、ボールを奪うことをめざす。

以上がアンデルレヒト時代にコンパニが展開していたサッカーの特色。
では、今季バーンリーでどんなサッカーをやっているのかは、またいずれまとめてみたい。

※参照
■ピッチの上の芸術 – ヴァンサン・コンパニの独特な4-4-2戦術
https://cafetactiques.com/2022/04/12/art-on-a-football-pitch-vincent-kompany-unique-4-4-2-tactics/

■ヴァンサン・コンパニがアンデルレヒトで用いた、3バックでのビルドアップの形、パターン、そしてバリエーション
https://cafetactiques.com/2021/08/21/vincent-kompany-back-3-buildup-with-anderlecht-analysis/

■グアルディオラの弟子筋にあたるヴァンサン・コンパニが、東ランカシャーでダイレクトなプレースタイルの見直しを図る
https://totalfootballanalysis.com/head-coach-analysis/202223-vincent-kompany-at-burnley-tactical-analysis-tactics

■ヴァンサン・コンパニとアンデルレヒト – 戦術分析
https://medium.com/top-level-sports/vincent-kompany-anderlecht-a-tactical-analysis-6a628369d18

【京都サンガ】2023シーズン選手一覧(※1月10日現在)

2023年1月10日現在33人。

インサイドハーフの右・左と、ストライカー(シャドー)の右・左は適当に割り振ったもの。

ディフェンスがちょっと手薄、特に左サイドバックが気になるところだけど、もうちょっと補強あるんすかね。

GKヴァルネル・ハーン(完)若原 智哉マイケル・ウッド太田 岳志
右SB白井 康介佐藤 響(完)福田 心之助(新)
CB(右)井上 黎生人アピアタウィア 久
CB(左)麻田 将吾イヨハ理ヘンリー(期)
左SB三竿 雄斗植田 悠太(昇)
アンカー川﨑 颯太金子 大毅(完)
IH(右)福岡 慎平三沢 直人平戸 太貴(完)
IH(左)武田 将平谷内田 哲平(復)アラン・カリウス
ST(右)豊川 雄太宮吉 拓実山田 楓喜
ST(左)松田 天馬パウリーニョ荒木 大吾平賀 大空(昇)
CF山﨑 凌吾パトリック(完)一美 和成(完)木下 康介(完)木村 勇大(新)