【J1参入プレーオフ決定戦】京都サンガF.C. 1-1 ロアッソ熊本

京都サンガF.C. 1-1 ロアッソ熊本
日時:2022年11月13日(日)13:06KO
会場:京都府立京都スタジアム “サンガS”(1万8,207人※歴代最多動員/雨 17.7℃ 82%)
主審:佐藤隆治
39′-京都/豊川雄太(左足←松田)
68′-熊本/イヨハ理ヘンリー(←CK)

■京都サンガF.C.(4-1-2-3)
GK21:上福元直人
DF14:白井康介
DF31:井上黎生人
DF3:麻田将吾
DF17:荻原拓也(70′-MF44:佐藤響)
MF24:川﨑颯太
MF10:福岡慎平(88′-FW13:宮吉拓実)
MF16:武田将平
FW23:豊川雄太(61′-MF19:金子大毅)
FW11:山﨑凌吾(70′-FW9:ピーター・マドゥアブチ・ウタカ)
FW18:松田天馬(70′-DF6:本多勇喜)

■ロアッソ熊本(3-3-1-3)
GK23:佐藤優也
DF2:黒木晃平(75′-DF33:阿部海斗)
DF5:菅田真啓
DF3:イヨハ理ヘンリー
MF15:三島頌平(75′-MF32:藤田一途)
MF6:河原創
MF14:竹本雄飛
MF37:平川怜
FW18:杉山直宏(88′-FW28:土信田悠生)
FW9:髙橋利樹(75′-FW11:粟飯原尚平)
FW16:坂本亘基(57′-MF21:ターレス・プロコピオ・カストロ・デ・パウラ)

曺貴裁コーチ(京都)
「熊本さんのやり方は、戦前の予想通りでした。
危ない時間もみんなで体を張って守って、先制点を取れた。
後半のチャンスで2点目を取れればよかったですが、それはわれわれの年間を通しての課題でもあります。
その後追いつかれましたが、選手交代で状況を落ち着かせるのはプランとして準備してあったことです。
きょうの結果は、年間を通して選手が努力した賜物だと思います。
自分たちがめざすフットボールを表現するとか、すばらしいサンガスタジアムで勝ち点3を積み重ねるという点でいうと、まだまだ物足りないところがあります。
しかし、チームとして久しぶりのJ1挑戦で、来年も戦える〝切符〟を得たということを今はうれしく思います。
(ーーこの試合で出せたものは?)
われわれは勝とうが負けようが、お客さんといっしょに成長していけるようなサッカーを目指しています。
きょう、もしかして3点取られて負けたかもしれないですけど、そういうリスクは承知の上で布陣をコンパクトにして戦っています。
J1の残り7〜8試合になって内容が非常によくなっていたので、きょうも同じような戦い方ができれば、最低限引き分けには持っていけるなと思っていました。
でも、課題は多いと思います。
(ーーサポーターの声援に対して)
最初スタジアムに入って、熊本さんのサポーターもたくさん入っていましたけど、われわれのサポーターの声援しか耳に入ってこないぐらい強く逞しい応援をしていただきました。
最後の最後、相手のシュートがポストに当たったのは、選手の頑張りとサポーターの思いがひとつになった、われわれらしい結果かなと思います。
(ーー来季に向けての課題は?)
最初から『できない』とあきらめるんじゃなくて、できるために何をするか?
負けたりうまくいかなかったりしても、どれだけ前を向いて戦うことができるか?
そういった気持ちというのが、人として簡単なようで難しいことだと思いますけれど、われわれのサッカーを支えていくのは間違いありません。
今シーズン、僕自身もすごく勉強になりました。
このサンガスタジアムで来年もまた熱狂空間を作り上げられることを、僕自身としても期待しています」

大木武コーチ(熊本)
「(ーーいま込み上げる思いは?)
特にないですね。
まぁ、残念だったということですね。
(ーー選手たちの躍動ぶりは?)
もうちょっとかな(笑)。
(ーーもうちょっと、必要だったのは?)
勝つこと(笑)、それだけですね。
(ーー先制されても諦めない姿勢を見せることができたのでは?)
そうですね、もうちょっとと言ったのは『まだできる』という意味を込めて。
きょうのゲームに関しては、よくやったと思いますね。
(ーーJ1のチームと戦ってどう感じた?)
1対1のところはやっぱり相手が強いかなと感じました。
あとは互角、あるいは、それ以上にやれるなという気持ちはあります。
(ーー今シーズンを振り返って?)
選手、スタッフはよくやりましたね。
(ーープレーオフに入って熊本県民の注目を集めた)
チャンスばっかりだとドキドキワクワクしないですよね(笑)?
ピンチがあったり、チャンスがあったり、どっちかわからないゲーム……よかったと思います。
きょう、あんなにたくさんのサポーターが来てくださったのは、感謝しかないです。
われわれにとってすばらしい力になった。
まぁ本当は笑って熊本に帰してあげたかったですけど。
それが叶わなかったのが一番の心残りですね」
(ーーこの経験を来季にどう生かす?)
勝っていい経験を積んだならば、生かすことができる。
負けて、こんな経験なら、もう忘れたほうがいいですね。
(ーー選手たちにはどう声を掛ける?)
勝っても負けても次のゲームが一番大切だから、その準備をしようと。
もう、伝えてきました」

あるいは戴冠せるアナーキスト

2022年J1昇格プレーオフの勝者となったのは……(ドゥルーーーダダダダ※ドラム音)京都サンガ!
決して楽観はしてなかったけど、悲観もしていなかった。
とはいえ、厳しい戦いだった。

後半ロスタイム、平川のシュートがポストを叩いたときーー。
15年前に聞いた〝音〟が脳内から蘇った。

2007年12月8日(土)。
サンフレッチェ広島との「J1・J2入れ替え戦第2戦」の後半ロスタイム。
槙野のオーバーヘッドがポストを叩く。
ピットに響く、カン!という乾いた金属音。
あの瞬間と、スタジアムが底冷えして死ぬほど寒かったこと。
それは明確に覚えている。
一方、目の前で展開された試合内容は忘却の彼方。

それから6年後の2013年12月8日(日)。
国立競技場でのJ1昇格プレーオフ決勝。
J2のシーズンでは順位が下だった徳島に敗れた試合。
スタジアムから見ていたけれど、試合内容がもう記憶にない。
唯一心に残っているのは、タイムアップの笛がなった瞬間、やるせない気持ちで眺めた夕暮れのスタジアムだけ。
当時の指揮官は大木さんだけど、試合後どんなコメントを残していただろうか?

いずれにせよ、瞬間瞬間の短い出来事、それに付随した感情。
そういったものしか、記憶というものは深く脳に刻まれないのかもしれない。
ならば……。
きょうロスタイム、相手にコーナーキックを与えたときの心拍数。
そして相手シュートがポストを叩いた音。
何年たっても、思い出せるに違いない。

記憶に残るエピソードができたという意味で、いいプレーオフだった。
今度また経験するなら、15年後ぐらいでよいけどね(笑)。

試合内容を少しだけ振り返る。
まず京都サイド、曺さんは最後までブレなかった。
ずっと得点が取れていない中で、この日も前節、前々節と同じスタメンを送り出す。
しかし、今シーズン京都が志向していたサッカーはなかなか表現できなかった。
ボールを持っているとき、持たないとき、両方でゴールを狙う姿勢。
〝huntゾーン〟(いわゆるポケット)を崩すこと。
シーズン後半からきょうまで、なかなか見られなかった。
しかし、最後まで身体を張って集中して、最後は守り切ることができた。

一方で、熊本サイド。
大木さんの、アナーキーなサッカーは健在だった。
3-4-3は、京都を率いて最初のシーズン前半を思わせるような布陣。
京都時代ほど密集と同サイドにこだわることはなかったけれど、短いパス交換で相手のプレッシングを回避する方法論があるのはさすが。
マンマーク気味の守備から、奪ったらセンターバックの選手でも前に出て行くような、縦方向の推進力もあった。
精度があれば、あるいは……といった内容だったと思う。
これで昨シーズンはJ3だったというのが恐ろしい。

京都としては、J2相手に主導権を握られる時間が長かったことは事実。
来季もおそらく、めざすサッカーは変わらないだろう。
しかし同じ内容であれば、順位も大きく上がることはない。
真価と進化が問われるJ1、2シーズン目になる。

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