「三億円事件」の犯人は女子高生だった?
キャッチコピーだけ聞くと馬鹿映画っぽいが、いやいや。
独特の余韻が残る、不思議な手触りがある作品だった。
以下、公式サイトに書かれている以上のネタバレはないですが、内容に触れています。
宮崎あおい演じる女子高生・みすず。
彼女は親に捨てられ、恵まれない環境で育ってきた。
だがある日、生き別れた実の兄が学校にやってきた。
それから、彼女は兄たちがたむろするジャズ喫茶を訪れるようになり、そこから何かが変わりだす——。
とにかくいちばん惹かれたのが、みすずの人物造形だった。
不幸な生い立ちから来るのか、表情は暗く、格好はあか抜けなない。
(で、そのときのノーメイクふうな宮崎あおいもまた、すんげぇかわいいことも付記しておきたい!)
そんな女子高生が、兄たちと交流することによって笑顔を見せるようになっていく。
とくに、はじめてバイクに乗ったときの顔が最高で。
ずっと陰鬱な表情をしていた少女が、自分でバイクを運転して風に髪をなびかせながら満面の笑みを浮かべるシーンは、この作品内でもっともウキウキさせてくれる部分だった。
そして、みすずが「三億円事件」に参加しようとした理由もよかった。
「いままで人に必要とされたことがなかったから。
『おまえが必要なんだ』と言われてうれしかった」
なんというか、犯罪は犯罪に違いないのですが、とてもうつくしい犯行理由と思ったのだった。
以上、原作小説よりまとまりがあって、ドラマチックでよかったです。
有楽町にて観劇。