出口なき迷宮(ラビリンス)
清水エスパルス1-0京都パープルサンガ
◇日時:2006年8月30日(水)19時00分キックオフ
◇会場:静岡県静岡市日本平スタジアム(9249人)
◇主審:どこがワールドカップクオリティなのかよくわかんない上川徹
後半23分【清水】チョ・ジェジン(ヘッド←FK:兵働)
■清水エスパルス(4-2-2-2)
GK21:西部洋平
DF25:市川大祐
DF26:青山直晃
DF4:高木和道
DF3:山西尊裕
MF7:伊東輝悦
MF16:枝村匠馬
MF13:兵働昭弘
MF10:藤本淳吾
(後半31分-MF14:高木純平)
FW17:マルコス・ゴメス・デ・アラウージョ “マルキーニョス”
(後半41分-MF6:杉山浩太)
FW18:チョ・ジェジン
■京都パープルサンガ(4-2-2-2)
GK26:西村弘司
DF23:大久保裕樹
DF19:登尾顕徳
DF32:手島和希
DF6:三上卓哉
(後半38分-MF11:星大輔)
MF17:石井俊也
MF16:斉藤大介
MF27:加藤大志
MF8:美尾敦
(後半22分-MF14:中払大介)
FW10:パウロ・アントニオ・デ・オリヴェイラ “パウリーニョ”
FW30:松田正俊
(前半34分-FW20:林丈統)
春一番コーチ(京都)
「えー、きょうも勝ち点が取れず、ひじょうに残念なゲームになってしまいました。
ゲーム全体のオーガナイズはうまくいったのですが、失点に象徴されるように、アラートとゴール前での強さが足りなかったと思います。
それは攻撃も同じで、ゴール前の決定力、パワー、点を取るための『最後の力』が足りませんでした。
ですがこの4連戦、中2日でのタフな試合を、選手たちはよく戦ってくれたと思います。
次は少し時間が空くので、しっかりいい準備をして次のゲームに挑みたいです。
それではみなさんご唱和ください、1、2、3、ダー!」
行ってきました、日本平。
感想は…完敗でーす!
たしかに、守備はがんばってたよ。
1失点で済んだしね。
だけど、攻めでは何もできずじまい。
守って守って、マイボールになったら前へドッカン。
そんな戦いぶりだった。
見てて、キッツイったらありゃしない。
テレビ中継なかったので、観戦に行かれてない方のために説明するなら、先月末の熊谷での大宮戦。
アレに近い感じのゲームと思ってもらえればいいんじゃないかと。
セットプレイ1発でやられて、攻撃はチグハグだったあのゲーム。
くしくもスコアも1-0で同じだし。
では、ゲームの振り返りをば。
きょうのサンガは守備意識は高かった。
日本平の2階席(すんばらしぃ!)から見てて、そう思った。
左右のMF大志&美尾はポジションを深くとって、ダブルボランチとともにひとつのラインになるぐらい。
で、清水のサイドMF・兵藤、藤本がボールをキープしようとすると、サイドバックとともによく「サンド」していた。
ディフェンスラインもそれなりに高い位置を保ち、相手から何度もオフサイドをとっていた。
そして、特筆すべきはこの日ボランチに入った石井ちゃん。
相手のパスコースを読んだカット、ボールホルダーへの寄せ、ドリブルしてくる選手への果敢なスライディング。
気合いが入りまくってた。
いままでなんで米田に固執してたのか、と言いたくなるぐらいの出来だった。
しかし。
それでも。
清水にチャンスをつくられちゃうんDA・YO・NEー。
なんつーか、中盤でうまく相手のボールを取れない。
チーム全体でボールを奪いにいくんじゃなくて、ボールホルダーに近い人だけがプレスにいってる感じなんだな。
それに、1対1の局面であっさり負けてしまうことが多い(相変わらず)。
んで、なんだかんだでシュートまでもっていかれてしまう。
(打ちも打たれたり20本!)
ただ、きょうにかんしてはGKコージー西村がすばらしかった。
前半、目の前でチョがフリーでヘッドしたのを機敏な反応ではじき飛ばしたり、スーパーセーブ連発。
まさに、やりすぎコージー!
彼がいなかったら、あと1、2点は取られてた可能性もあった。
失点シーンも、チョのマークに誰もついてなかったし、あれはコージーにとってはノーチャンス。
とまぁ、危ない場面もありながら1失点で済んだ守備にたいして!
攻撃は!!
なにもできませんでした!!!
ちゃんちゃん。
記憶している範囲内で京都の決定機といえば。
前半、左サイドを美尾がえぐってグラウンダー、ニアでパウがつぶれて流れたボールを松田がプッシュできず。
同じく、左サイドからのクロスに松田がフリーでヘッド(やや距離があったため、キーパーがセーブ)。
それぐらいじゃないか。
後半は、惜しいっていえるシーンがなかったように思う。
…忘れてたら、申し訳ない。
とにかく守りの意識が強すぎたせいか、いつも以上に攻撃がノロい。
自陣でボールを奪ったら、チーム全体が
「あーよかった」
って、一息つくような感じ。
そこから、
「よっこらせ」
と、斉藤か石井にボールを預けて。
そして、2人が出しどころに迷う、と。
大志もそうとうマークされてて、斉藤→大志のロングパスは2、3度ほど。
んで、出すところがないから、深めから松田めがけて放り込む。
それが、柱谷シェフによる本日の攻撃メインメニューだった。
うーむ…。
ご存知のとおり、松田もそんなにポストが上手い選手じゃない。
前節よりは頑張って前線で体張ってたと思うけど。
それでも、相手DFのマークであっさりボディバランスを乱して、ボールを奪われるシーンが散見された。
さらにひどかったのは、松田交代後。
まず松田に代わって林が入って、それでもやっぱり放り込む。
いや、2トップが170cm切ってるのに、競り勝てませんって。
次に、星が入って大志、林、パウの3トップになる(星と中払がワイドに開いた3-4-3)。
それでもなお、放り込む。
いや、3トップが170cm切って(以下同)。
もうちょっと、攻めに工夫とかないもんか?
けっきょく、交代の手を打ってもなんら反撃する機会も見いだせないままタイムアップとなってしまったのだった。
そんな、きょうのゲーム。
正直、今季いちばん
「もしかして…降格?」
のイメージが沸いてきた戦いぶりだった。
でも、今後はこういう戦い方にならざるをえないのだろう。
そう思う。
失点をしないことを第一にして、攻撃は手数をかけない。
大志に預けるか、あるいは、前線に放り込み。
アンドレが戻ってくれば、松田よりは高さと強さがある。
何本もドッカンドッカン放り込むうちに、ヘッドで競り勝ってくれるかもしれない。
そのボールがディフェンスラインの裏に流れるかもしれない。
あるいは、相手DFがクリアしたボールが予想外のバウンドをするかもしれない。
パウリーニョの前に転がるかもしれない。
パウがマーカーをぶっちぎっるかもしれない。
ゴールを決めてくれるかもしれない。
その後は引きこもって、守りきれるかもしれない。
1-0で勝つかもしれない。
個人能力や戦術で相手を上回ることが期待できない現在。
われわれに一縷の望みが残っているとするならば、それはサッカーボールが丸いことだ。
放り込んでいれば、イレギュラーバウンドや何かが起こるかもしれない。
何かが。
偶然が。
奇跡が。
神さま、お願いします。